ハラスメント研修も目的次第で結果が変わる

 先日デライトコンサルティング株式会社様主催の『パワハラ予防士養成講座』に参加してきました。 

 デライトコンサルティングさんは『デライト式ビジネスカード』と称して組織人事や労務管理の場面で活用できる様々なカード式研修教材を作成している、社労士界隈では有名な会社です。

 私もこれまでいくつかのセミナーを受講し、『パワハラ予防士』『BMCビジネスマナーファシリテーター』の認定を受けております。

 今回の『パワハラ予防士養成講座』は実は二度目の再受講で、おさらいとして参加してまいりました。

 

  ちょっと難しい話をすると、2019年6月5日に『女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律』というややこしい名称の法律が公布され、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法という法律が改正されました(2020年6月1日施行)。
 この改正により、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となったため(中小企業は2022年4月1日より義務化)、多くの企業でパワハラをはじめとするハラスメント研修が行われるようになりました。

 

 ただ、会社で研修を受けたという人の話を聞いてみると、「パワハラとはなんぞや?」を厚労省が規定した類型に沿って説明を受けたり、「時代が変わった」とか「相手が嫌だと感じたらパワハラ」とか「裁判になると大変なことになる」とか、教科書通りの説明と脅しを一方的に受けて終わっている場合が多いようです。

 なので結局出てくる受講者の素直な感想は、「生きづらい世の中になった」とか「もはや何もしゃべれない」などという研修の効果がほぼ感じられないものばかりのようです。

 

 パワハラの定義は裁判などになれば確かに必要であるし、働く側も定義が分からなければ自分の行動をどうすれば良いのか分からないのも確かです。その点で定義が明確になったことは大切です。

 しかし一方で、もっとファジーで言語化や定義づけが難しいのがむしろ人間関係の本質ではないでしょうか。

 結局のところパワハラに対する対策で大切なのは、定義やルール、罰則を定め覚えること以上に、そもそもパワハラが起きない職場環境や組織文化を作ることと言えます。

 

 今回私が受講し認定を受けた『パワハラ予防士』も、そのような目的と観点から研修全体が構成されています。

 参加者が自己と他者への理解を深め、人間関係の質を向上させることで、そもそもハラスメントが存在しない理想の職場づくりを目指すものです。

 それは単にハラスメントの理解や防止に役立つだけでなく、心理的安全性が保障された職場づくり、離職率の低下や労働生産性の向上に直結するものとなります。

 

 ハラスメント研修も目的次第で得られる成果は大きく変わります。どのような目的で研修を行うのか、しっかり定めたいものですね。