新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金① - 社労士PAKの労務日記
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金② - 社労士PAKの労務日記
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これまで2回に分けて、従業員が休業支援金を申請すること自体で労働基準法(26条)違反を問われることはない、労災加入手続きは必須(ただし労働者側からすると、事業所が労災加入手続きをしてない状態でも申請自体は可能)ということを確認しました。
では実際どのような人が申請の対象となるのでしょうか。
厚生労働省から公表されているリーフレットには
令和2年4月1日から9月30日までの間に事業主の指示を受けて休業(休業手当の支払なし)した中小企業の労働者
とあります。
分解すると、会社から休業手当等の支払いを受けていない労働者であって、
① 令和2年4月1日~9月30日までの休業が対象(3月31日以前は対象外)
※ただし12月末まで延長されることが公表済
② 事業主の指示を受けた休業であることが必要(自己都合等による休業は対象外)
③ 中小企業で働く労働者(大企業で働く労働者は対象外)
と、申請対象となるには以上3つの要素が必要となります。
少し解説を。
①に関しては、そのままですので特に説明はいらないと思いますが、3月31日以前の休業は残念ながら対象外であることだけお気を付けください。なお、前述のように9月30日までという期間は12月末まで延長されています。
※一つだけ注意点:休業支援金の対象となる期間と、申請締め切り期間は別です。4~6月の休業に関する申請期限は今月(9月)末(郵送の場合は必着)ですので注意しましょう!
②に関しては、要するにこの度の新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に事業自体を休んだり、人員の削減などの必要性から従業員を休ませた場合があたります。
よって、そもそも育児休業中であったり、年次有給休暇を取得した日、病気などで欠勤した日など自己都合によって休んだ日は支援金の対象から外れます。ただし、毎週決まっている本来のお休みの日などはこれにあたりませんので支援金を計算する際、除外されることはありません。
少し???な感じがするかもしれませんが、ここは実際の支援金の計算方法を解説する際に再度触れたいと思います。
なお、新型コロナの影響により、パートやアルバイトなどのシフト制従業員のシフトを減らさざるを得なかった場合も『事業主の指示を受けた休業』に該当することとなっていますので安心してください。
③ですが、ここに関しては大企業で務めるパートさんなどから非常に苦情が多い箇所と言えます(例えば比較的企業規模の大きい飲食店や商店の店員など)。
中小企業の範囲は以下のように定められています。
上記のように、その会社の主な事業が何であり、資本金又は常時雇用する労働者の数により判断します。
例えば飲食業であれば、資本金が5千万円以下又は常時雇用する労働者が50人以下であれば中小企業となり、そこで働く労働者は今回の休業支援金の対象となります。
なぜ大企業の労働者を対象外としたのか。
「大企業は雇用調整助成金を申請する余裕があるから」というのが厚労省の説明のようですが(参考)、対象から外れた労働者からすれば到底納得できるものではないでしょう。
誰もが知っているような大企業であっても休業手当を支払っていない企業は沢山見受けられ(参考)、今からでも改正すべきではないかと個人的には考えます。それが出来ないなら、せめて経団連などを通じ休業手当の支払いを国として強く要請すべきではないでしょうか。
もし自社が上記基準により大企業に該当し、休業手当の支払いをしてこなかった場合、御社従業員は一切の補償を受けられないこととなります。その場合、やはり今からでも雇用調整助成金の活用により休業手当を支払いを検討されることをお勧めします(4~7月分の雇用調整助成金の支給申請は9月末が申請期限です。お早めに対策を)。
これ以外にも対象となったり、ならなかったりするパターンがありますので、それらは次回ご説明いたします。