多くの中小企業が加入する全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」)の健康保険料率および介護保険料率は、協会が各都道府県の実情を踏まえ定めた後、厚生労働大臣の認可を受けることで正式決定されますが、2月5日その厚生労働大臣の認可を受け、2024年度の保険料率が正式決定しました。
各都道府県の保険料率は下記表をご参照いただければと思いますが、昨年より引き上げられるのが24府県、引き下げられるのが22都道県、据え置きが1県と、半数以上が引き上げられることとなりました。
令和6年度都道府県単位保険料率
|
令和5年度 |
↑:引上げ |
令和6年度 |
北海道 |
10.29% |
↓ |
10.21% |
青森県 |
9.79% |
↓ |
9.49% |
岩手県 |
9.77% |
↓ |
9.63% |
宮城県 |
10.05% |
↓ |
10.01% |
秋田県 |
9.86% |
↓ |
9.85% |
山形県 |
9.98% |
↓ |
9.84% |
福島県 |
9.53% |
↑ |
9.59% |
茨城県 |
9.73% |
↓ |
9.66% |
栃木県 |
9.96% |
↓ |
9.79% |
群馬県 |
9.76% |
↑ |
9.81% |
埼玉県 |
9.82% |
↓ |
9.78% |
千葉県 |
9.87% |
↓ |
9.77% |
東京都 |
10.00% |
↓ |
9.98% |
神奈川県 |
10.02% |
→ |
10.02% |
新潟県 |
9.33% |
↑ |
9.35% |
富山県 |
9.57% |
↑ |
9.62% |
石川県 |
9.66% |
↑ |
9.94% |
福井県 |
9.91% |
↑ |
10.07% |
山梨県 |
9.67% |
↑ |
9.94% |
長野県 |
9.49% |
↑ |
9.55% |
岐阜県 |
9.80% |
↑ |
9.91% |
静岡県 |
9.75% |
↑ |
9.85% |
愛知県 |
10.01% |
↑ |
10.02% |
三重県 |
9.81% |
↑ |
9.94% |
滋賀県 |
9.73% |
↑ |
9.89% |
京都府 |
10.09% |
↑ |
10.13% |
大阪府 |
10.29% |
↑ |
10.34% |
兵庫県 |
10.17% |
↑ |
10.18% |
奈良県 |
10.14% |
↑ |
10.22% |
和歌山県 |
9.94% |
↑ |
10.00% |
鳥取県 |
9.82% |
↓ |
9.68% |
島根県 |
10.26% |
↓ |
9.92% |
岡山県 |
10.07% |
↓ |
10.02% |
広島県 |
9.92% |
↑ |
9.95% |
山口県 |
9.96% |
↑ |
10.20% |
徳島県 |
10.25% |
↓ |
10.19% |
香川県 |
10.23% |
↑ |
10.33% |
愛媛県 |
10.01% |
↑ |
10.03% |
高知県 |
10.10% |
↓ |
9.89% |
福岡県 |
10.36% |
↓ |
10.35% |
佐賀県 |
10.51% |
↓ |
10.42% |
長崎県 |
10.21% |
↓ |
10.17% |
熊本県 |
10.32% |
↓ |
10.30% |
大分県 |
10.20% |
↑ |
10.25% |
宮崎県 |
9.76% |
↑ |
9.85% |
鹿児島県 |
10.26% |
↓ |
10.13% |
沖縄県 |
9.89% |
↓ |
9.52% |
高齢化による医療費の伸びが賃金の伸びを上回るという財政の赤字構造は解消されないなど、医療費や保険料を取り巻く環境は依然厳しい状態です。
実は協会けんぽでは、インフルエンザの想定以上の流行等、いざというときのために『準備金』という積立金を準備しているのですが(2022年度収支で4兆7千億円)、このままの推移で医療費が増大したり被保険者が伸びない場合、これも切り崩さなければならない見通しとなっています。
保有する準備金の水準については、現在猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症と同様、もしくはそれ以上の影響がある感染症が今後発生しないとは言えず、現在保有している約4兆3,000億円の準備金が本当に十分な水準であるかどうかは一概には言えないと考えている。大きな金額ではあるが、仮に4,000万人の加入者に一人当たり10万円分の医療費がかかったとしたら、すぐに吹き飛んでしまう金額でもある。(第118回運営委員会(令和4年9月14日)における理事長発言)
とのことですが、4兆円という巨額の準備金を今後どうするのかもマニアックな注目事項ではあります(将来世代のため、ただ切り崩すというのは避けてほしいというのは個人的に思うところではありますが)。
いずれにせよ、社会保険料の増加や対象者の拡大などは避けられない情勢であることには変わりありませんので、事業主の方々はしっかりとそこまで見据えたうえで財務状況をチェックすべきと言えますね。
なお、新しい保険料率は本年3月分(4月納付分)から適用されます。給与計算を担当する方は保険料率の変更をお忘れなく。
※任意継続被保険者及び日雇特例被保険者の方は4月分(4月納付分)から変更