労働時間の切り捨ては許されるか?

先日気になるニュースが目に留まりました。

 

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多くの人が一度が入ったことがあるであろうすかいらーくにて、これまでタイムカードにおける5分未満の労働時間を切り捨てていたところ、この度その分の賃金過去2年分を支払うと言います。対象労働者は9万人、費用は計16億~17億円とのことです。


タイムカードに打刻された時間を15分単位や、極端なところでは30分単位で切り捨てている事業所は今も少なくないと思います。


しかしその切り捨てられた時間に実際には労働をしていたとすると、本来は当然賃金が発生しており、切り捨ては違法となります。
監督署に駆け込まれたりすれば、事業主としては不利な状況になります。
労働時間の一方的な「まるめ」は本来許されないのです。


では、どうすれば良いでしょうか。
様々な策が考えられるでしょうが、ザっと思いつくところでは以下のような対策が考えられます。


①タイムカード通りに1分単位で支給する。ただし、この場合仕事開始直前の打刻及び
終業直後の打刻を強調する必要があります。


②「○○時になったから□□さんあがってください」と終業時間に業務を終了することを明確に伝える。
数分でも延長してもらう時は「15分延長して欲しい」とその時間までしっかり伝える。
終業時刻や延長時間を明確に伝えることで、タイムカードに打刻される若干のズレは問題としない。
ただしこれは毎回そこまで細かく指導できるかという点と、言った言わないという問題が生じる可能性はあります。
労使双方の納得度が必要となるでしょう。


③あらかじめ「退勤調整手当」などを支給する。
実際には始業終業時間定刻にタイムカードを打刻するなど無理な話です。
必ず数分のズレは生じることでしょう。
そこでそのズレる時間をあらかじめ想定しておき、手当として支給することも考えられます。
例えば、始業前終業後の着替えに10分、タイムカードと持ち場までの移動に5分、合計15分分の賃金を支給するということです。
時給1000円のアルバイトとすると、一勤務ごとに250円となります。

 

上記はパッと思いついた一例で、一概にこれが正解と言えるものではありません。
どのように対応するかは、業態や業種、社内風土によってもだいぶ変わってくるかと思います。

しかしこのような大手企業の動きが働き手のマインドに影響を与えることは間違いなく、今後より細かい対応が求められると言えるでしょう。