少し前になりますが、こんな記事がありました。
現在の日本の育児休業の取得率は、女性82.2%、男性6.16%となっています(厚労省「平成30年度雇用均等基本調査」より)。
想像通り圧倒的に男性の取得率が低いのが現状です。そこで現在国は男性の育児休業取得率を上げるために様々な対策を立てようとしています(参考記事:出生時両立支援助成金 - 社労士PAKの労務日記 )。
男性の育児休業取得が促進されない理由は色々考えられますが、その内の一つに休業中の所得に関する心配があります。
もちろんこれは女性にとっても大きな問題ではありますが、夫婦揃っての所得低下を防ぐために、妻が育休を取得するなら夫は取得しないという選択をせざるを得ない場合も多いのだと思われます。
育児休業中は、雇用保険の被保険者であれば育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金は過去にも段階的にその給付額が引き上げられてきましたが、それでもまだ休業前に受け取っていた給与に比べると低い水準です。
具体的にご紹介すると、育休開始後6カ月は現役時代の67%、その後子が一歳になるまでは50%が支給されることとなっています(詳細はこちらを参照:
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000178877.pdf)。
例えば休業前の賃金が30万円の人の場合、育休開始後6カ月は20万1千円、その後子が1歳に達するまでは15万円が支給されることとなります。
家族が増えて、これからその家族を養うという観点からすると、やはり少々大きな収入減と感じられると思います。
そこで政府はこの育児休業給付金の額を引き上げる検討に入ったとのことです。
現段階で給付率を80%まで引き上げる案が浮上しているとのこと。80%となると、先述の休業前の給与が30万円の人の場合、24万円が受け取れることとなります。
休業前の30万円の給与からは社会保険料や雇用保険料、所得税などが控除されるので、実際の手取りは約25万円となります。ですので80%が支給されるとほぼ休業前と同額の収入が保障されることとなります(育児休業給付金は非課税。社会保険料も育休中は原則免除となります)。
シングルマザーなど、自分の収入だけが頼りの人にとっても助かることでしょう。
財源の問題などクリアしなければならない点はあるようですが、是非実現してもらいたい改正です。