労基署等当面の労働時間対策の具体的な進め方

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 去る4月1日、厚生労働省労働基準局長及び厚生労働省雇用環境・均等局長から各都道府県労働局長宛に通達が出されました。

 

 タイトルは『当面の労働時間対策の具体的推進について』。

 働き方改革関連法の交付・施行に伴い、タイトル通り当面の労働時間対策の具体的な進め方を定めたものであり、これに基づき労働時間対策を的確に推進することを都道府県労働局長に求めています。

 

 

 その具体的推進の内容ですが、

1.労働時間等設定改善実施体制の整備

2.法定労働時間遵守の徹底

3.時間外労働の削減

4.1年単位の変形労働時間制等の労働時間制度の適正な運用の確保

5.勤務間インターバル制度の導入促進

6.年次有給休暇の取得促進

7.その他

 

1の『法定労働時間遵守の徹底』では、「依然として、一部の中小零細企業を中心に法定労働時間の認識が低いことから、働き方改革関連法の周知と併せ、引き続き集団指導等を実施するなどにより、法定労働時間の遵守の徹底を図ることが強調されており、

 

3の『時間外労働の削減』では、①「時間外労働の削減を図るためには、その前提となる始業・就業の時刻を適正に把握するなど労働時間の管理を適正なものとする必要」があり、そのために「労働時間管理の適正化のための指導を行うこと。」

 また、「1カ月について60時間を超える時間外労働を行わせた場合は、5割以上の率で割増賃金を支払わなければならないことについて遵守の徹底を図る」ことが示されています。

 更には時間外・休日労働協定届(いわゆるサブロク協定)が届け出られた場合には、「当該協定届の内容について必要な指導を行うこと」「特に、限度時間を超えて労働させることが出来る場合について、「業務の都合上必要な場合」や「業務上やむをえない場合」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものと認められる内容を協定している場合は、当該協定の適正化について必要な指導が行うこと。」「時間外・休日労働協定の締結当事者である労働者の過半数代表者については、職制上の地位及び選出方法が労働基準法施行規則第6条の2第1項に基づく要件を充足していることについて確認を徹底すること」が強調されています。

 

 6の『年次有給休暇(以下年休)の取得促進』でも、①年5日の年休の確実な取得、②年休取得日数等の管理、③年休取得促進に向けた機運の醸成、④年休取得に伴う不利益取り扱いの禁止、というように4月1日から始まった年休付与の義務化の徹底と同時に、年休を取得したことによる不利益な取り扱い(精皆勤手当や賞与の額の算定の際、年休取得日を欠勤扱いにするなど)を行わないよう指導することなどが示されています。

 

 以上のように、中小企業での運用にて問題になりそうな点をしっかり押さえている印象です。

 各社一つ一つ、運用面も確認していく必要があるでしょう。

 

 

※一方で、サブロク協定を届け出ることによって色々チェックを受ける現在の状況は改めてほしいと思います。「届け出たらチェックを受け、届け出なければそのままスルー」では真面目に届け出た企業にとっては「出し損」になってしまいます。

 協定を届け出ていない(締結していない)企業を探し出し、そこに対するチェックを厳しくするのが本来のスジではないでしょうか。