先日(4/6)『働き方改革関連法案』が閣議決定され、政府は今国会での成立を目指すこととなりました。
報道では主に裁量労働制の適用拡大(今回は法案自体から削除)や、『高度プロフェッショナル制度』『同一労働同一賃金』など色々難しい言葉ばかりが流され、「うちには関係ないな」なんて思っている事業主の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし今回の法案、あまり報道されていない中にも色々重大な内容が含まれています。
今回はそのうちの一つ、『年次有給休暇付与の「義務化」』についてご紹介します。
年次有給休暇はその事業所で6ヶ月以上働き、全労働日の8割以上出勤した労働者に与えられるものです。
これは、上記要件をクリアすることによって労働者に当然に与えられる権利ですので、「うちは有給休暇の制度なんてないよ」とはいかないわけです。
※「その分給料に上乗せしている(=休暇を買い取っている)」という事業主の方もたまにいらっしゃいますが、本当は
年次有給休暇の「買取」は出来ません。
とは言えこの年次有給休暇、基本的には労働者の請求によって付与するものですので、請求が無ければ2年の時効をもってその権利も消滅したのです。
しかし今回の労基法改正案が通ると、そうとばかりはいかなくなります。
今回の改正案では、一定の要件を満たす労働者に対し、年5日以上の年休を付与することを使用者に義務付けており、違反した事業主には30万円以下の罰金を設けています。
今まで年休の付与などしたことがなかった(従業員からの請求も無かった)、人手不足でそれどころじゃない、という事業所もこの法案が通れば否が応でも年休の付与について対応せざるを得なくなります。
そしてうまく対応できなければ、余計な労務トラブルを生むことにもつながり、更には人材の確保にも影響が出ることが予想されます。
この法案、このまま国会で成立すれば早速来年4月1日から施行されます。
今まで年次有給休暇について全くノータッチであった事業所では、最短で残り350日程度で対策を立てなければなりません。
休暇の見直し、年次有給休暇の計画的付与制度の導入、それらに伴う就業規則や各種規定の作成(改定)などなどやることはたくさんありそうです。