社労士PAKの労務日記

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【年次有給休暇】退職後の再雇用、勤続年数は通算する?

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 今年の4月から年次有給休暇(以下:年休)の付与義務化が施行されたこともあってか、最近年休に関するお問い合わせが非常に増えています。

 

 先日頂いたお問い合わせをご紹介します。

 

Q:本人の都合により一旦退職手続きを取った正社員を、そのままパートとして再雇用しました。この場合次の年休付与日の起算となる日は、パートとして新たな雇用契約を交わした日か、それとも再雇用前の雇用契約における入社日か、どちらでしょうか?

 

A:年次有給休暇を付与する要件の一つに、「6カ月以上継続勤務」というものがあります。そしてこの「継続勤務」が続く限り、その後1年毎に年休が付与されることになります。

 

 この「継続勤務」に関し行政解釈は、『継続勤務とは、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間(昭和63.3.14 基発第150号)』と示しています。

 

 更に継続勤務か否かは、『勤務の実態に即し実質的に判断すべきもの』としながら、以下のような場合には、実質的に労働関係が継続している限り勤続年数を通算するとしています。

『イ 定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用している場合(退職手当規定に基づき、所定の退職手当を支給した場合を含む。)。ただし、退職と採用との間に相当期間が存し、客観的に労働関係が断続していると認められる場合はこの限りでない。』

 

 また、裁判例においても

『労働基準法39条にいう「継続勤務」に該当するか否かは、有給休暇制度の趣旨が労働者を労働から解放することによって心身の疲労を回復させ、また文化的生活を確保させることにより、より質の高い労働力の継続的提供を可能ならしめることにあることからすると、形式的に労働者としての身分や労働契約の期間が継続しているどうかによって勤務が継続しているかどうかを決すべきではなく実質的に労働者としての勤務関係が継続しているかどうかにより決すべきものである。(東京都中央卸売市場食肉市場事件、平成2年9月25日 東京地方裁判所)』

 

 

 以上のように「継続勤務」かどうかの判断は、契約書や雇用形態などの形式的なものではなく、実質的にその労働者が継続的に同じ職場(事業主の下)で働いているのかどうかで判断されるものとなります。

 

 今回のご相談の場合、ご本人の都合で正社員としては一旦退職手続きを取ったとのことですが、雇用関係自体は継続しており、そうである以上年休付与日の起算日も再雇用前の雇用契約における入社日とすることが妥当ではなかろうかと考えます。