インフルエンザの流行が収まりませんね。
我が家は今のところ子供を含めて誰も罹っておらず助かっています。
さて、先日ある会社で就業規則の打ち合わせをしていた場で話題になったのが、従業員がインフルエンザに罹りお休みした場合のお給料に関してです。
インフルエンザに罹ると、病院の指導によって数日間外出を控えなくてはならず、熱が下がった後でも出勤することが出来ない場合があります。
また、お子さんなどご家族がインフルエンザに罹り、看病をするためにお休みを取りたいと連絡があった場合。
更には例えば老人ホームや介護施設など、業種や職種によっては念には念を入れて会社として休業を指示する場合もあるかも知れません。
このような場合、給与の支払いはどのようになるのでしょうか?
以下にまとめてみましたので、ご参照ください。
① 本人がインフルエンザに罹患して会社をお休みした場合
この場合は医師の指導による外出自粛期間を含めて、基本的に一般の病欠と同様の扱いで構いません。
就業規則でお休み中は無給と定めているならば、無給で構いません。
就業規則中に病気休暇等の定めがあるならばそれに従えば良く、休業期間の給与もその定めによります
なお、本人から年次有給休暇(以下:年休)を利用したいとの申し出があれば、そのように処理すれば良いでしょう。
② 例えば熱が37度以上あることなど、一定の症状があることのみをもって一律に従業員を休ませる措置をとる場合
まだインフルエンザかどうか分からないが、発熱などの一定の症状があることのみをもって規則として従業員を休ませる場合には、労働基準法でいう「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたります。
この場合、休ませた期間に対し『休業手当』を支払わなければなりません。
※休業手当:使用者の都合により従業員を休ませる場合に支払いが義務付けられている手当のことで、平均賃金(過去3か月分の給与を日割りしたもの)の6割以上と労働基準法で決められています。
③ 従業員の家族が罹患した場合に、その従業員を休ませる場合
例えば従業員のお子さんがインフルエンザに罹患した場合、看病をする両親にうつる可能性は通常よりは高くなることでしょう。
業種によっては『子→親(従業員)→顧客』への伝染を危惧して、従業員を休ませる場合もあるかも知れません。
この場合は、②と同様「使用者の責に帰すべき事由による休業」となりますので、休業手当の支払いが必要です。
ただし、そのお子さんが小学校就学前の場合、その親御さんは一年度において5日 (小学校就学前の子が2人以上の場合10日)子の看護休暇という休暇の取得が認められています(雇用期間が短いなど、条件によっては取得できない場合もあります。会社にご確認ください)。
従業員の方が看護休暇の取得を申し出た場合は看護休暇として扱い、その間の給与に関しては就業規則の定めに従います。
なお、①と同様に従業員の方が年休の取得を希望した場合は、こちらもそのように処理すれば良いでしょう。
さて、上記は厚生労働省の見解に沿ったものです。
一方で②や③のような場合、民法の規定により労働者は使用者に賃金を全額請求できるとする説もあります(民法536条2項)。
いずれにせよ特殊な場合や医師の診断を受けた場合を除き、インフルエンザの疑いや家族の罹患のみを理由に休業を命じることは慎重になるべきでしょう。
また、インフルエンザのみならず病欠時のルールなどを就業規則や労働契約などで事前に明確にしておくことが重要です。
それと手洗い、うがいを忘れずに。
それでは皆さん元気に冬を乗り切ってください。
厚生労働省によるインフルエンザに関する会社の対応に関しては、こちらに詳しく出ています。ご参照ください。
新型インフルエンザ(A_H1N1)に関する事業者・職場のQ&A(平成21年10月30日)|厚生労働省