【新型コロナ】保険料等の納付猶予措置

 政府による緊急事態宣言の延長もあり、経済活動が戻るにはまだ相当の時間がかかると思われます。

 多くの事業主の方が当面の資金繰りに追われていることでしょう。

 

 そんな中厚生労働省より社会保険料(厚生年金保険料等)及び労働保険料の納付猶予措置(特例)についての公表がありました(2020.5.1)。

 

 元来、特に社会保険料に関しては非常に使いづらい制度でしたが、今回の特例によりかなり使いやすい制度となったため、当面の資金を確保する上で必要とする事業主においては、申請を検討してみてはいかがでしょうか?

 

1.厚生年金保険料等の納付猶予の特例

 

1)概要と対象

①新型コロナウイルス感染症の影響で、事業等にかかる収入が昨年同期比概ね20%以上減少した事業主が、

②厚生年金保険料等(社会保険料)を一時に納付が困難な場合、

申請により、

④厚生年金保険料等の納付を1年間猶予が可能

となります。

なお、この納付猶予の特例が適用されると、担保の提供は不要となり(通常は原則必要です)、延滞金もかかりません(申請をせずに払わない=未納の場合は延滞金がかかります)。

 

2)対象となる厚生年金保険料等

①2020年2月1日~2021年1月31日までに納期限が到来する厚生年金保険料等

②上記期間の内、既に納期限が過ぎているもの(具体的には2020年1月分から3月分)に関しては、遡って特例を利用可能(ただし2020年6月30日までに申請が必要)

 

3)申請方法など

日本年金機構のサイトより「納付の猶予(特例)申請書」をダウンロード&必要事項を記入の上、管轄の年金事務所に提出(郵送可)

②毎月の納期限からおおよそ25日以内に申請が必要

となります。

 

 なお、納付の猶予が適用される条件とされる「売上等20%減」に関しては、原則証拠書類が必要とのことですが、書類が揃えられない場合や、厳密に20%減とはならない場合でも、職員による聞き取りなどから柔軟に対応するとのことです。

 

 賃金の約30%程度(半分は従業員負担)となる厚生年金保険料等の納付は、事業主にとって日頃から楽なものではないと思います。

 ましてや現在のような非常時には猶更でしょう。万が一の場合には検討してみてはいかがでしょうか。

※ただし、今回の措置は免除ではなくあくまで猶予です。一旦猶予が認められても、社会保険料は毎月かかるものです。つまり、猶予期間中支払うべき社会保険料は積み重なっていきます。まるまる1年間猶予措置を得たとすれば、1年後その額は莫大な額となることでしょう。いつかは必ず支払わなければならないもの、そして毎月増え続けるものということを決して忘れずに計画的にご検討ください。

www.nenkin.go.jp

 

2.労働保険料の納付の猶予の特例

 

 労働保険料の納付の猶予にも特例が実施されます。6月には労働保険料の年度更新が行われます。

 一時に納付が難しい場合にはこちらもご検討ください。

 

 なお、猶予となる対象期間や売上等概ね20%以上減少などの要件は社会保険料と同様です。

 

 こちらは郵送以外にも電子申請も可能とのことです。なお、猶予の申請は該当保険料の納期限までとなりますのでご注意ください。

 

 また、労働保険事務組合に委託をしている企業の場合は、当該労働保険事務組合を通じて申請手続きを行うこととなります。

 

 厚生労働省のサイトにQ&Aなどもありますので、詳細はそちらでご確認ください。

www.mhlw.go.jp

 

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