毎月勤労統計の不正調査②

 先日書いた毎月勤労統計の不正調査毎月勤労統計の不正調査①~私情編ですが、報道もされている通り、不正の結果雇用保険や労災保険などの支給額が間違っていたケースが生じることとなりました。

 

 これはどういうことかと言いますと、例えば雇用保険の基本手当(よく「失業保険」などと呼ばれているもの)は、離職前の給与額を基に1日当たりの給与額を算定し、そこに給付率(給付率は45%~80%の範囲で、年齢や離職前の給与額によって定められています)を掛けた額(これを「基本手当日額」と呼びます)を給付日数分受給することになるのですが、離職前の給与が非常に高かった場合や低かった場合には、この基本手当日額も非常に高くなってしまったり低くなってしまいます。


 そこで雇用保険ではこの基本手当日額に上限額や下限額が設定されているのです。

(離職前の給与が高かった人からすればそれだけ保険料を払ったのだから上限額があるのは納得できないかもしれませんが、まあそこは我慢してください。。。)

 

 そして今回正しいデータで再計算をすると、この上限額と下限額が少しずつ上昇する可能性が出ました。

 

 すると上限や下限の額を受給した人が本来受給できた額は当然もう少し多かったわけで、その差額が不足分となるわけです。

 

 仕組みは少々違いますが、労災保険もこの毎月勤労統計のデータを利用し最低補償額を設けているため、最低補償額が上昇することにより、結果不足分が生じるのです。

 

 さて、現在厚生労働省は不足分に関しては不正が始まった2004年に遡り個別に支給をし、逆に多く受け取ってしまった人への返還は求めないとしています。

 

 しかしこの不足分があるであろう対象者、雇用保険だけで延べ約2000万人に上るとされ、1000万人以上の人の現住所が不明とのこと。対象者には今後「お知らせ」を郵送するとのことですが、それも限界があるということです。

 いったいどうなることやら。。。

 

 

 各保険の追加支給のスケジュールを図表化してみました。心当たりのある方はご参考にしてください。

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 どの給付が対象となるのかなどの詳細は、下記リンクよりご確認ください(同じ保険制度でも給付内容により支給時期が異なる場合もあります)。

 

追加給付の対象となる方

支払時期の目安

 

 

 なお、厚生労働省では相談ダイヤルも設けています。不明な点や相談が下記に連絡するのも良いでしょう。

問い合わせ専用ダイヤル