出向という言葉、よく耳にすると思います。
時々質問されるのが、この出向時の社会保険をはじめとする各種公的保険の適用の問題です。
少しまとめてみました。
まず前提として出向には、
① 今在籍している会社(以下「出向元」と呼びます)に籍を残したまま、会社の命令により別の会社(以下「出向先」と呼びます)で労務を提供する『在籍出向』と、
② 今在籍している会社(出向元)との労働契約を解消し、別の会社(出向先)と新たに労働契約を締結する『転籍出向』と呼ばれる形態が存在します。
そして①②いずれの形態かにより社会保険等の取り扱いが異なります。
先に②転籍出向の場合を説明すると、
こちらはそもそも出向元との労働契約が解消され、新たに出向先で労働契約を結ぶわけですから、賃金も当然全額出向先から受けることになるでしょう。
よって社会保険、雇用保険、労災保険すべて出向先での取り扱いとなります。
次に①在籍出向の場合ですが、
在籍出向の場合、出向先での賃金をはじめとする労働条件等については出向元と出向先、そして出向命令を受ける従業員との3者で取り決められることとなりますが、この時賃金をどこが支払うのか、がポイントとなります。
賃金を継続して出向元が支払うのであれば社会保険もそのまま出向元にて加入。
今後は賃金を出向先が支払うのであれば、出向先にて加入。
という具合ですね。
(賃金が両方から出る場合もありますが、この場合は従業員がどちらかの事業所を選択した上で、賃金を合算し出向元と出向先がそれぞれ按分した額を負担することになります)
雇用保険に関しては、主な賃金を受ける方で加入することとなり、雇用保険料も主な賃金を支払う側にて算出・納付します。この場合、賃金額の合算は必要ありません。
注意が必要なのは労災保険ですが、労災保険は上記どのような場合であれ、出向先での対象となり、労災保険料も出向先で算出・納付します。
労災保険は勤務中の労災事故に対する保険ですので、当然実際に働く現場で加入することとなるのですね。
参考にしてみてください。