社労士PAKの労務日記

日本のどこかで開業中の社会保険労務士PAKです。お役立ち情報をちょろちょろとお届けします。

携帯電話当番は労働時間?

f:id:paktong:20190502171242j:plain

 

 所定の勤務時間終了後や休日などに、従業員に携帯電話を持たせる会社もあると思います。

 取引先からの電話や緊急時の対応のためといったところでしょうか。

 会社によっては当番制で従業員の誰かが必ず持つようになっている会社もあるでしょう。

 

 さて、この携帯電話当番(とここでは呼びます)は労働時間に当たるのでしょうか?

 労働時間に当たる場合、例えば休日中ずっと電源を入れておかなければならないとすれば、その割増賃金は相当な額となってしまいます。

 そして労働者側からはこれを「労働時間だ!」と主張されることが最近は多くなってきたように思われます。 

 これは昨今未払い残業代等が注目されるようになり、「手待ち時間」という言葉が広まったこともあるのでしょう。

 

 では、携帯電話当番は「手待ち時間(=労働時間)」なのでしょうか?

 

 

 まず労働時間の定義を確認しておく必要があります。

 

 労働時間とは、「客観的に見て、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否か」により決まります。そして就業規則や労働契約などで、ある状態や行為を労働時間に含めないと形式的に定めても、これらの規定に左右はされず、あくまで実態により判断されることとなります。

 キーワードは「使用者の指揮命令下」ということです。

 

 例えばホテルのフロント係で夜中は来客もなくやることもないけど、フロント又は仮眠室で待機をしなければならない。閉店後でお客さんは来ないけど、何らかの理由で店内で待機していなければならない。警備員で緊急出動が無ければやることはないが、制服を着たまま会社や仮眠室で待機しなければならない。などなど。

 

 これらの場合は確かに仮眠が許されたり、一定の時間具体的な仕事をしているとは言えないかもしれません。よってこれらの時間を「休憩時間だ」と主張する経営者の方も少なくありません。

 しかし上の例の場合、労働者は必ず定められた場所にて待機せねばならず、外出の自由もありません。そして何かあればその場で直ちに行動し、対処することが義務付けられているのです。

 つまり暇であろうが寝ても良かろうが、労働から完全に解放されたとは言えず、使用者の指揮命令下にあり労働時間に該当すると言えます。

 ここでもう一つのキーワード「場所的拘束性」が出てきます。

 

 

 それでは本日の本題である勤務時間外に携帯電話の所持している時間はどうでしょう。

 

 まず実際に電話がかかってきてその電話に対応した時間や、その後案件に対応した時間は当然に労働時間となります。

 

 では電話がかかってきていない時間はどうか?

 

 この場合、上で紹介した例のように使用者に指定された場所(職場など)からの離脱を許されており、自宅や行楽地、何なら居酒屋にいても自由であり、場所的拘束性はありません

 

 つまり携帯電話を所持はしているものの、電話がかかってきていない時間は労働から解放されており、この時間は労働時間に当たらないと言えるのです。

 

 

 

 

 ただし携帯電話を所持している間頻繁に電話がかかってくる場合などは別の判断もあり得ますので注意しましょう。

  

 さらに言えば「労働から解放されている」とはいえ、上述のように実際に電話対応をした時間は労働時間となりますし、そうでなくてもいつでも電話を取らなければならないという状態は精神的な負担となります。

 

 よってお現実的な対応としては、携帯電話当番一回につき一定の手当(平均賃金の3分の1程度)を支払うのが妥当と言えるでしょう。

 

 

 いずれにせよ自社の場合どの程度の電話対応が必要であるか等を検討の上、就業規則や給与規定などで事前にしっかり定めておくことが大切です。