インバウンド効果もあり、ここ数年は特に都市部を中心に次から次へと新しいホテルが建設されているような印象です(一方で旅館は年々減っているとのこと)。
形態がホテルにせよ旅館にせよ、法律的には旅館業法に定められる旅館業となるわけですが、これらの事業場では一人(一組)の客の宿泊期間、担当として世話をしたり、フロント業務を前日から翌朝以降まで担当したりと、一般の事業場とは違った働き方となる事が多くなります。
では旅館業での休日の考え方はどのようになるのでしょうか?
1.休日の原則
労働基準法では休日を少なくとも毎週1回与えなければならないことになっています。※労働基準法第35条
この「1回の休日」の概念ですが、①午前0時~午後12時までの1暦日を指すのか、または単に②継続した24時間でも良いのかという疑問が問題が生じます。
この問題で労働基準法は、原則として暦日休日制をとっています。
例えば下の図のように、シフトがB日とC日という2暦日にまたがる場合、C日は労働日となり、その後例え継続した24時間の休暇を与えても休日を与えたことにはなりません。この場合更にその次の日のD日を丸々休ませなければ休日を与えたことにはならないのです。
2.旅館業における休日の取扱いについて
しかし旅館業においては、客を宿泊させ、これに飲食等のサービスを提供することを目的とするという旅館業特有の業態から、旅館業で働く労働者の勤務時間もチェック・インからチェック・アウトまでの2暦日にまたがる時間帯で編成されることが多いという実情を考慮した扱いを認める通達が出ています(昭和57年6月30日、基発第446号)。
これによると、
ー 対象
この取り扱いは、旅館業における労働者の内、フロント係、調理係、仲番及び客室係の労働者に限られます。よって旅館業であっても、一般の事務に従事するような労働者には適用されません。
ー 2暦日にまたがる休日の要件
① 正午から翌日の正午までの24時間を含む継続30時間(当分の間27時間以上)の休息時間が確保されていること。
② 休日を、「2暦日にまたがる休日」という形で与えることがある旨及びその時間帯があらかじめ労働者に明示されていること。
とされています(下図参照)
また、上記「2暦日にまたがる休日」という形で休日を与える事業場に対しては以下のような指導をするよう通達されています。
① 当該労働者の1年間における法定休日数のうち少なくとも2分の1は暦日によって休日を与えること
② 休日は前月末までに具体的な勤務割表などにより具体的な期日、2暦日にまたがる休日を与えるかどうか等を明らかにして労働者に通知すること
③ 当該労働者について、1年間に法定休日数を含め60日以上の休日を確保すること
昨今の人手不足の影響もあり、旅館業も『働き方改革』を積極的に進めているようです。今回紹介した取扱いも上手に利用しながら従業員が働きやすい環境を整えていきましょう。